さとぅーの寝言

睡眠が大好きだけど大嫌いな駆け出しさんすうマンです。勉強したことや趣味について適当に綴っていきます。

大学編入試験の過去問解説(4)-ふとうしきとあそぼう

前回:大学編入試験の過去問解説(3)-調和級数になりたかった級数


高専生活最後のテストを終え,そして卒研絡みのイベントもすべて終え,水を得た魚,スターを得たマ〇オのように元気を取り戻したさとぅーでございます.



イェェェェェエエエエエエエエェェエエエエエエエエエーーーーーーーーーーーーーイ!!!!!!!!



ごめん,これがやりたかっただけ.


そろそろ1つ下の後輩が進路関係でピリピリしだす頃ですな.

就活も受験勉強も頑張ってくれって感じですわ.


今回取り上げる問題はこちら.

(1) x>0 の範囲で3つの関数 f(x) = x-1, \, g(x) = \mathrm{log}\, x, \, h(x) = -\frac{1}{ex} を考える.
ただし,\mathrm{log}\, x は自然対数,e自然対数の底である.
すべての x>0 について,f(x) \ge g(x) \ge h(x) を示せ.
また,f(x) \ge g(x), \, g(x) \ge h(x) の2つの不等式それぞれについて,
等号の成立する x の値を求めよ.

(2) a_i > -1 \, (i=1, 2, 3, \cdots)を満たす任意の数列 {a_i} と任意の n に対して,

 \displaystyle \left( \sum_{i=1}^{n} a_i \right) \prod_{i=1}^{n} (1 + a_i) > -\frac{1}{e} \tag{i}

を示せ.ただし,\displaystyle \prod_{i=1}^{n} (1 + a_i)n 個の実数 1+a_1, \cdots , 1+a_n をかけた数を表す.

(3) a_i = t \, (i=1, \cdots , n, \, t>-1) のとき,
\displaystyle \left( \sum_{i=1}^{n} a_i \right) \prod_{i=1}^{n} (1 + a_i) を最小にする t の値と最小値を n を用いて表せ.

(4) 不等式(i)において,右辺の  -\frac{1}{e} をより大きな数(n によらない)に変えても,
a_i > -1 \, (i=1,2,3,\cdots) を満たす任意の数列 {a_i} と任意の n に対して,
この不等式が成立するか,理由をつけて答えよ.

 

以下から各設問の解説に飛べます.



設問(1)

 F(x) := f(x)-g(x) と置きます.すると,x>0 の範囲で f(x) \ge g(x) であることを示したければその範囲で F(x) \ge 0 であることを示せばよいし,f(x)=g(x) が成り立つときの x の値が知りたければ F(x)=0 を満たす x の値を求めればよいことになります.

そのためには, F(x) の増減表を完成させればOKです.

詳細は省きますが,F(x) の増減表は以下のようになります.

f:id:mathg-32:20170303201302p:plain

というわけで,x>0 の範囲で f(x) \ge g(x) であり,これの等号が成り立つのは x=1 のときであることが分かりました.


全く同様にして,x>0 の範囲で g(x) \ge h(x) であることが示され,等号が成り立つのは x=\frac{1}{e} のときであることが分かります.



設問(2)

この不等式は,設問(1)の結果を利用すればすっきりと証明することができます.

そのために,x_i := 1+a_i と置きます.

すると,条件より a_i >-1 なので x_i>0

また,式(i)を書き換えると

 \displaystyle \left( \sum_{i=1}^{n} (x_i - 1) \right) \prod_{i=1}^{n} x_i > -\frac{1}{e} \tag{ii}

となります.

さらに,x_i \ne 0 より \prod\limits_{i=1}^{n} x_i \ne 0 なので,式(ii)の両辺を \prod\limits_{i=1}^{n} x_i で割ると

 \displaystyle \sum_{i=1}^{n} (x_i - 1)  > -\frac{1}{e \prod\limits_{i=1}^{n} x_i} \tag{iii}

となり,これで準備が整いました.


式(iii)を示せば,もちろん式(i)も示せたことになります.

\prod\limits_{i=1}^{n} x_i > 0 であることに注意し,設問(1)の結果を利用すると

\displaystyle
\begin{align}
   \sum_{i=1}^{n} (x_i - 1)  &= (x_1 - 1) + \cdots + (x_n -1)  \\
       &\ge \mathrm{log} \, x_1 + \cdots + \mathrm{log} \, x_n \quad (\because f(x_i) \ge g(x_i)) \\
       &= \mathrm{log} \, \left( \prod_{i=1}^{n} x_i \right) \\
       &\ge -\frac{1}{e \prod\limits_{i=1}^{n} x_i} \quad (\because g \left( \prod x_i \right) \ge h \left( \prod x_i \right))
\end{align}


上の式の中に出てきた2つの不等式について,設問(1)の結果から同時に等号は成り立たないので,結局

\displaystyle  \sum_{i=1}^{n} (x_i - 1)  > -\frac{1}{e \prod\limits_{i=1}^{n} x_i}

であることが分かり,式(iii)が示されました.


設問(3)

これは,設問(2)における数列 \{ a_i \} が定数列 \{ t \} のときに,式( i )の左辺が最小となる t の値を求める問題ですね.

a_i =t のとき,式(i)の左辺は

\displaystyle y_n (t) := nt(1+t)^n \tag{iv}

と書き直すことができます.


式(iv)の両辺を t微分すると

 \displaystyle \frac{dy_n}{dt} = n(1+t)^{n-1}\{ (n+1)t+1 \}

となり,\frac{dy_n}{dt} = 0 を満たす t の値は,1+t \ne 0 なので

\displaystyle t = -\frac{1}{n+1}

であることが分かります.


 y_n が最小値をとり得る t の値は1つなので,この段階で最小値を求めてやってもいい気がしますが,それだとなんか気持ちが悪いので一応増減表を作ってみます.

f:id:mathg-32:20170303201607p:plain

てなわけで,y_n の最小値は - \left( \frac{n}{n+1} \right) ^{n+1} であることが分かりました.


設問(4)

設問(2)で登場した式(i)の右辺をより大きな数に変えたときの不等式

 \displaystyle \left( \sum_{i=1}^{n} a_i \right) \prod_{i=1}^{n} (1 + a_i) > -\frac{1}{e} + \varepsilon \tag{i'}

が成り立つことを示したいとき,条件を満たす任意の数列 \{ a_i \},任意の n をとっても成り立つことを示さなければなりません.

逆に成り立たないことを示すときはある数列 \{ a_i \},またはある n をとったときに式(i’)が成り立たないこと,つまり反例を示せばいいわけです.
(もちろん,\varepsilon >0 です.)


そして,先に結果を言ってしまうと,式(i’)は成り立ちません.


設問(3)の結果を用いることで反例を示すことができます.

繰り返しになりますが,設問(3)で考えた定数列は設問(2)で仮定した数列 \{ a_i \} が満たすべき条件をクリアしているので,この定数列 \{ a_i \} = \{ t \} を用いると,式(i')は

\displaystyle y_n (t) > -\frac{1}{e} + \varepsilon \tag{v}

と書き直すことができます.

さらに,式(v)が成り立つことを知りたければ,任意の n, \, t \, (>-1) においても左辺の最小値が右辺より大きいかどうかを調べればいいわけです.


まずは設問(3)で求めた y_n(t) の最小値 y_{\mathrm{min},n}極限値を求めてみます.

\displaystyle
\begin{align}
   \lim_{n \to \infty} y_{\mathrm{min},n} &= -\lim_{n \to \infty} \left( \frac{n}{n+1} \right) ^{n+1} \\
       &= -\lim_{m \to \infty} \left( \frac{m-1}{m} \right) ^{m} \quad (m := n+1) \\
       &= -\lim_{m \to \infty} \left( 1- \frac{1}{m} \right) ^{m} \\
       &= -e^{-1} = -\frac{1}{e}
\end{align}

ここで,m:=n+1 と置いたときに n \to \infty \Rightarrow m \to \infty であることを用いています.

あと,詳しい説明は省きますが,

\displaystyle \lim_{n \to \infty} \left( 1+ \frac{x}{n} \right) ^{n} = e^x

であることから,x=-1 として

\displaystyle \lim_{n \to \infty} \left( 1- \frac{1}{n} \right) ^{n} = e^{-1}

が成り立つことも用いています.

(二項定理を使って実際に左辺を展開してみると,確かに成り立つことが分かります.)


式(i)の右辺の値である -\frac{1}{e} が登場してきましたね~

つまり,式(i)において n \to \infty のとき,左辺の最小値 y_{\mathrm{min},n} は右辺の値 -\frac{1}{e} に収束するというわけです.


これが一体何を意味しているのか.


n を十分大きくすると,-\frac{1}{e} + \varepsilon > y_{\mathrm{min},n} > -\frac{1}{e} を満たすことができるのです.

このことを \varepsilon -N 論法を用いてきちんと示してみます.


 \lim\limits_{n \to \infty} y_{\mathrm{min},n} = -\frac{1}{e} が成り立つとき,任意の正数 \varepsilon に対して N \in \mathbb{N} を選び,

\displaystyle n \ge N \Rightarrow \left| y_{\mathrm{min},n} - \left( -\frac{1}{e} \right) \right| < \varepsilon

を満たすようにすることができます.

よって,n \ge N のとき

\displaystyle \varepsilon > y_{\mathrm{min},n} + \frac{1}{e} > -\varepsilon

\displaystyle \therefore -\frac{1}{e}+\varepsilon > y_{\mathrm{min},n} > -\frac{1}{e}-\varepsilon

が成り立ちます.

しかしながら,設問(2)より \displaystyle y_{\mathrm{min},n} > -\frac{1}{e} なので,これと組み合わせて

\displaystyle -\frac{1}{e} + \varepsilon > y_{\mathrm{min},n} > -\frac{1}{e}

となり,示したかった不等式が出てきました.


長ったらしくなりましたが,以上をまとめると,任意の正数 \varepsilon をとったときに十分大きな N を選ぶことで,y_{\mathrm{min},n}-\frac{1}{e} + \varepsilon より小さくできることが分かりました.

これは式(i’)の反例なので,式(i)の右辺を少しでも大きくすると,任意の数列 \{ a_i \},任意の n に対して不等式が成り立たないことが示されました.





今回の解説は以上でございま~す.

もう一か月後には夢の大学生活が始まるのかと思うとわくわくするゾ^~

今月は過去問解説の記事をいくつかあげようと考えています.


頑張るぞい!


次回:準備中