さとぅーの寝言

睡眠が大好きだけど大嫌いな駆け出しさんすうマンです。

大学編入試験の過去問解説(3)-調和級数になりたかった級数

前回:大学編入試験の過去問解説(2)-仲間外れにするかしないか


どうも,日々の多忙に疲労困憊中のさとぅーです.


11月の第二週に控えた高専祭(文化祭)の準備を頑張らなあかんし…

高専祭前にはひっさしぶりのライブを控えてるし…

12月に控える大きな展示会に向けて卒研進めなあかんし…

でも高専祭後には定期テストが控えてるし…

そろそろ卒論書き始めなあかんし…

でも先生は謎に授業の課題を出してくるし…

そういやTOEICに向けて英語の勉強せなあかんし…

えとせとらえとせとら…



高専5年生って,こんなにも忙しいものなんすか(ブチギレ



こんなこと言ったら僕より忙しい人に怒られそうですけど,しんどいもんはしんどいししゃーない.

「忙しいとかほざくんやったらブログ書いてないでタスクを減らせやボケ」という声が聞こえてきそうですが,自分の勉強にもなるんで,最低でも月1でブログは更新したいっすよね.


そういや,わが弟が今週末に大学入試を控えてるそうです.

僕が見る限り「本当にやる気あんのか?」って感じですけど,大丈夫ですかね…


これを見ている受験生は,さぼらず勉強頑張ってくださいね(はぁと

(今更言ってももう遅い人もおるかもしれんけど)



今回取りあげる問題は,みんな大好き調和級数の発展問題です.

個人的に面白いと感じた問題ですね.

(1)級数 \displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n} は発散することを示せ.

(2)m 桁の自然数のうちで,0 の文字が入らないものの個数を答えよ.
例えば m=3 のときなら, 111, 112, 113, \dots , 119, 121, \dots , 999 の個数で,9^3 である.

(3) (1)の和から n0 の文字が入った項,例えば,\frac{1}{10},\frac{1}{20}, \dots ,\frac{1}{100}, \frac{1}{101}, \dots
などを抜いた級数S とする.すなわち,

 \displaystyle S = 1 + \frac{1}{2} + \cdots + \frac{1}{9} + \frac{1}{11} + \cdots + \frac{1}{19} + \frac{1}{21} + \cdots

このとき,S は収束することを示せ.

 

以下から各設問の解説に飛べます.



設問(1)

\displaystyle \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n} = 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \frac{1}{4} + \cdots

これがかの有名な調和級数でございます.

足し合わせていく数はどんどん0に近づいていくのに,総和はいくらでもおおきくなっていく,なんとも不思議な級数です.


ここで解説してもいいけど,調和級数が発散することの証明はググればいくらでも出てくるので,別にここで解説する必要はないかなって感じです.


(めんどくさいからとか言えない)


定番ですけど,以下のサイトとか分かりやすいと思いますよ.

調和級数1+1/2+1/3...が発散することの3通りの証明 | 高校数学の美しい物語


てなわけで,この設問の解説はカットで(ごめんね


設問(2)

「0の文字が入らない自然数」という条件は,「各桁の数字が1~9である自然数」と言い換えることができます.

例えば m=3 のとき,一,十,百の位にそれぞれ1~9をとってくればよいので,条件を満たす自然数は全部で 9 \times 9 \times 9 = 9^3 通りあります.


てなわけで,一般的に条件を満たすm桁の自然数9^m 個あります.


設問(3)

m桁で0の文字を含まない自然数の逆数の総和を S_m とします.

つまり,

\displaystyle 
\begin{align}
   S_1 &= \frac{1}{1} + \frac{1}{2} + \cdots + \frac{1}{9} \\
   S_2 &= \frac{1}{11} + \frac{1}{12} + \cdots + \frac{1}{99} \\
       &\vdots
\end{align}

ってことですね.


ここで,各 S_m を不等式で評価してみます.

※あとの説明のためにあえて冗長な書き方をしています.

\displaystyle
\begin{align}
   S_1 &= \frac{1}{1} + \frac{1}{2} + \cdots + \frac{1}{9} \\
       &< \underbrace{\frac{1}{10^0} + \frac{1}{10^0} + \cdots + \frac{1}{10^0}}_{9^1個} \\
       &= \frac{9}{10^0} \quad (=9)
\end{align}

\displaystyle
\begin{align}
   S_2 &= \frac{1}{11} + \frac{1}{12} + \cdots + \frac{1}{99} \\
       &< \underbrace{\frac{1}{10^1} + \frac{1}{10^1} + \cdots + \frac{1}{10^1}}_{9^2個} \\
       &= \frac{9^2}{10^1} \quad (=\frac{9^2}{10})
\end{align}


一般的に,S_m の項はすべて \frac{1}{10^{m-1}} より小さく(1=\frac{1}{10^0}は除く),項数は設問(2)より 9^m なので,

\displaystyle 
\begin{align}
   S_m &< \underbrace{\frac{1}{10^{m-1}} + \frac{1}{10^{m-1}} + \cdots + \frac{1}{10^{m-1}}}_{9^m個} \\
       &= \frac{9^m}{10^{m-1}}
\end{align}
 
 
以上の議論より,収束するか知りたい級数 S の評価をすることができます.

\displaystyle
S = \sum_{m=1}^{\infty} S_m < \frac{9}{1} + \frac{9^2}{10} + \frac{9^3}{100} + \cdots + \frac{9^m}{10^{m-1}} + \cdots
 
上式の右辺は初項 9,公比 \frac{9}{10} の等比級数なので,結局

 \displaystyle
S < \sum_{m=1}^{\infty} 9 \cdot \left( \frac{9}{10} \right) ^ {m-1} = 9 \cdot \frac{1}{1 - \frac{9}{10}} = 90

となり,まぁびっくり,調和級数から0の文字を含まない項を取り除くだけで収束するどころか,少なくとも90よりも小さくなることが示されました.




なんだか,「これぞ数学の神秘」って感じがしません?


…って僕だけですかそうですか.


編入試験の過去問を解いてたらたまに面白い問題があって,受験勉強が楽しくなる時がありましたねぇ.

こういう小さな楽しみを見つけていかないと,受験勉強なんてやってられんからなw



さてさて,しばらくは高専祭の準備と卒研を頑張りますかね(白目

生きて帰って来れるよう頑張ります…


次回:大学編入試験の過去問解説(4)-ふとうしきとあそぼう