さとぅーの寝言

睡眠が大好きだけど大嫌いな駆け出しさんすうマンです。

さんすうのーと(1) ―開基・準開基

早速ですが,「『さんすうのーと』とはなんぞや?」ってところの説明をさせてください.

僕がこのブログを始めたきっかけは,勉強したことを記事にまとめることでそれに対する理解を確かなものとし,さらにはそれを目標の1つにすることで学習意欲の向上を図るためです.

しかし,僕の理解力,文章力の無さも相まってか,数学の記事を一本まとめるのに想像以上の労力と時間を要し,なかなか記事を更新できていないのが現状です.

そこで,定理の証明等をきちんとまとめたりするのではなく,日ごろ勉強していてメモに残しておきたいと個人的に思ったこと,例えば定理の証明中で分かりにくかった箇所とかを短くまとめた記事を書いていくことにしました.

たぶん,さんすうのーとは半ば日記みたいなものになるかと思います.


9月の後半から,友達が進めてくれた内田さんの『集合と位相』を読んでます.

最近までずっと,集合位相の勉強をするなら松坂さんの『集合・位相入門』だけで十分だと思い込んでいたのですが,友達曰く「量の割に内容が薄い」とのことだったので,これはまずいと思い立って勧められた内田集合位相を図書館で借りたわけです.

確かに松坂集合位相には載ってないことが色々書かれていて,かつ内容がコンパクトにまとめられているので読みやすい感じがします.

ただ,初学者が内田集合位相だけを読むのは少々きつい気がするので,証明で分からないようなところは松坂集合位相を参考するのが良いのかなとは思います.

僕はそうしてます.

基本的な事項が丁寧に説明されているのが松坂集合位相の良いとこです(たぶん).


ということで,今回は開基と準開基について二度と忘れないように少しまとめてみます.

開基は分かりやすいんですけど,準開基はなかなか最初はすんなり頭に入って来なかったりします.

以下,集合 X に位相 \mathscr{O} が与えられた位相空間(X,\mathscr{O}) とし,X のべき集合 \mathfrak{P}(X) の部分集合 \mathfrak{A} について,\mathfrak{A}:=\{ A_\lambda ; \lambda \in \Lambda \}と表すことで

\displaystyle \cup \mathfrak{A} := \bigcup_{\lambda \in \Lambda} A_\lambda

と定めます(共通部分についても同様に定義).


定義1(開基)

\mathscr{B} \subset \mathscr{O} について,

\mathscr{B}\mathscr{O} の開基 \overset{def.}{\Longleftrightarrow} \forall O \in \mathscr{O}, \exists \mathscr{B}_0 \subset \mathscr{B}, O = \cup \mathscr{B}_o \quad \square
 
 
定義2(準開基)

\mathscr{S} \subset \mathscr{O} について,

\mathscr{S}\mathscr{O} の準開基
\quad \overset{def.}{\Longleftrightarrow} \forall O \in \mathscr{O}, \forall x \in O, \exists N_1, \cdots, \exists N_r \in \mathscr{S}, \\
[ x \in N_1 \cap \cdots \cap N_r \land N_1 \cap \cdots \cap N_r \subset O ] \quad \square


準開基の定義はパッと見よく分かんないですが,開基の定義に出てくる式を

\forall O \in \mathscr{O}, \forall x \in O, \exists U \in \mathscr{B}, [ x \in U \land U \subset O ]

と書き換えることができるので,これより

\tilde{\mathscr{B}} := \{ \cap \mathfrak{A} ; \mathfrak{A} \subset \mathscr{S}, \mathfrak{A}:有限集合 \}

とおくと,

\mathscr{S}\mathscr{O}準開基 \Leftrightarrow \tilde{\mathscr{B}}\mathscr{O}開基

が成り立ちます.


また,\mathscr{B} \subset \mathfrak{P}(X) を開基とする位相 \mathscr{O} は必ず

\mathscr{O} = \{\cup \mathfrak{A} ; \mathfrak{A} \subset \mathscr{B}\}

を満たしてないといけないことから,\mathscr{B} を開基とするような位相 \mathscr{O} は一意に決まります.

実は,任意に \mathscr{S} \subset \mathfrak{P}(X) をとって先程と同様に \tilde{\mathscr{B}} を定めると,\tilde{\mathscr{B}} がある位相 \mathscr{O} の開基となることが示され,さらに直前で述べたことから \mathscr{O} は一意に決まります.

つまり,任意の \mathscr{S} を準開基とするような位相 \mathscr{O} が唯一存在し,これを \mathscr{S} によって生成される位相と言います.


ここで少し注意したいのが,任意の \mathscr{S} \subset \mathfrak{P}(X) を準開基とする位相はいつでも存在するが,それを開基とする位相がいつでも存在するとは限らないということです.

それを言うには,ある条件を満たしていなければなりません.


ところで,r > 0 のときに開球 B(x;r)B(x;r):=\{ y \in \mathbb{R}^n;|x-y| < r \} と定めると,

O\mathbb{R}^n の開集合
\quad \Longleftrightarrow \forall x \in O, \exists r > 0, B(x;r) \subset O

でありますが,これはまさに \mathbb{R}^n の開球全体が \mathbb{R}^n に導入されている自然な位相の開基となることを表しています.

(最後の例はかなり適当なところが多いですがお許しを.)


これからも集合位相の勉強頑張っていきましょ~